庭家
関東平野が終わり、山々が太平洋に向かって、ぐっと迫り出してくると日立市である。この地域の宅地の多くは、山間地を切り開いた高台にあり、「庭家」もそんな土地に建っている。また、今回は施主の妻の両親が野菜を作りながら暮らす約800坪の敷地の一部が計画地である。家を設計する際に施主の家族構成と、その時分の子供の年齢というのは大きな要因であり、加えて設計する私の家庭の状況も大きく影響する。「庭家」を設計した際、施主は2DKのアパートに2人の子供と奥さんの4人で暮らしていた。私も同じく2DKのアパートに、子供3人、祖母、妻と6人で暮らしていた。施主の子供は小学生の姉と幼稚園に通い始めたばかりの弟、活発な時期である。この時期の子供達は身体的に大きなスペースを欲し始める。子供達が駆け回ることができる家が必要であったことは、同じ環境に暮らす私にも理解できた。子供は成長する度にその活動面積を広げていく。大人達は、自らその活動範囲を自由に広げる事ができるが、子供達はそうはいかない。家においては両親という大人が決めた、限られた空間でその領域を決めて行く他ない。一方、家の外には無限に空間が広がっている。とは言っても、その空間を自由に使うにも年齢という身体的制限がある。赤ちゃんのうちは小さなゆりかご、ハイハイできるようになればリビングやダイニングが遊び場になる。2歳にもなれば、庭も彼らの空間になる。小学生になれば近くの友達を連れて来てベイブレードや鬼ごっこをしながら、家と庭を駆け回るようになる。そうなれば、家と庭は繋がっている方が都合がいい。家の中でTVゲームで遊んでいても、庭にぱっと出れた方が、遊びも人間も広がっていくと思う。
Design: 眞田大輔 / 佐藤尚子
Structure: 名和研二(なわけんジム) / 森永信行
Equipment: 島津充弘(島津設計)
Land: 茨城・日立
Client: 個人
Construction: 山金建設株式会社
竣工年月日: 2008年12月
用途: 個人住宅
構造・構法: 木造一部RC造
基礎: ベタ基礎
階数: 地上1階
敷地面積: 415.18
建築面積: 96.89(29.36坪)
延床面積: 96.89(29.36坪)