施主は高校を卒業後に上京し、代官山の有名美容室で10年間技術を磨き、2008年に美容室“RIPPLE”を開業。目立った産業もなく、少子高齢化の進む街に、ファッションを通じて街を元気にする「場」を生み出したいというコンセプトに共感し、設計を始めたのは2013年の夏だった。計画にあたり銀行融資を依頼したところ実績が乏しいという理由で、当初考えていた計画に対する十分な融資を取り付けることができなかった。そこで、全体の計画を二期に分け、第一期工事は融資額に合わせるため、コンテナを利用し最小限の空間でオープンすることとした。コンテナで1年間営業を続け、実績を積んだ後に再度金融機関に追加融資を依頼したところ、業績を見た金融機関は二つ返事で二期工事への追加融資をしてくれることとなった。二期工事の計画は、日々変化する現場をお客さまにも見ていただき、新たな店舗への期待を膨らませて欲しいという思いから、既存のコンテナ部分に影響がない構成にし、営業を続けながら工事を進めた。実際、日々変化していく店を楽しみに来られる方が多く、建築という行為が改めてお客と店を強く結びつけるきっかけとなった。もう一つ工事計画において留意したことは、コンテナで使用したサッシュや内装を二期工事において再利用できるようにしたことである。大開口のサッシュは新規木造部分の開口に、予算の掛かる水廻りトイレは変更せずに利用できるよう予めプランを行った。全体のプランは、コンテナとそこに掛けられた木造屋根の大きな吹き抜け空間、シャンプーブースを内包した小さな小屋、それらに囲まれたテラスの4つの空間に分けられる。カットブースからは、季節ごとに変化するテラスの緑、「RIPPLE GARDEN」と名付けた畑を眺め、薄暗いシャンプーブースの奥の小さな窓からは遠く八溝山系の山々を望むことができる。美容室という非日常空間から、日常目にしている当たり前の景色を眺めることで、改めてその豊かさに気づいてもらいたという思いを込めた建築である。

美容室
Design:
眞田大輔
福田善成
Land:
茨城・高萩
Client:
個人
Construction:
山金建設株式会社
竣工年月日:
2016年2月
用途:
美容室
構造・構法:
木造+コンテナ
規 模
階数:
地上1階
敷地面積:
611.00㎡(185.15坪)
延床面積:
56.13㎡(17.0坪)