高尾山の東に端を発し、境川と多摩川に挟まれ、三浦半島まで延びる丘陵地帯を多摩丘陵と呼ぶ。丘陵の大部分は住宅地として開発されたが、残された土地には公園化された谷戸や野山、田畑が残る。敷地は、現在は町田市となっているが、かつて鶴川村と呼ばれ、周辺にはかつての里山の風景を残す野山も多い。計画は、代々周辺一帯で農業を続けてきた農家の屋敷の一部を3区画の宅地に分けることから始まった。敷地内には、この住宅の名称になっている竹林があり、整備もされず荒れていた。90年代後半から安価な中国産のタケノコが輸入される以前は、農家の収入源の一部としてタケノコ栽培が盛んであったが、現在では、竹林の大部分が放置林となっている。整備がされない竹林は、生物多様性を阻害し、また、枯れた竹をそのままにすることで、池中が空洞化し土砂崩れの危険性が増す。宅地の区画分けの際、メンテナンスに手間のかかる竹林に接する敷地を拙宅のものとした。3つの宅地の区画については、自然なコミュニティーの形成を促すため、3軒が空間を共有できるプライベートな裏庭を設けようと考えた。しかし、拙宅の敷地以外をどの業者が建設するかは不確定である。そこで、敷地裏側を三角形とし、その頂点で3宅地が交わるようにデザインした。一般的な計画であれば裏の三角地に建物を建設することはないので、自然に空間が残るように仕向けた。実際、2軒とも裏庭を農園や趣味の空間として利用し、風が吹き抜ける気持ちの良い共有スペースとなった。竹林は約40度の崖となっており、法規と実質的な安全性の確保から、1階の竹林側をL型のコンクリート壁とし、擁壁としての機能を持たせた。建物の構造は、このコンクリート壁に木架構を組み合わせた混構造である。切妻の屋根は吹き抜けとロフト空間を内包し、2階のリビングダイニングとロフトにある子供部屋を繋ぐ。竹林と住宅は空中に掛け渡したデッキによって結びつけられ、敷地全体に回遊性を持たせた。また、デッキ空間は竹林と住宅とに挟まれ、周囲から隔絶されたプライベートな空間となっている。かつて放棄された竹林は、借景の庭として、春は良質なタケノコが収穫できる竹林として蘇った。竹林との新たな関係性を再構築し、住居と自然を強く結びつける計画となった。

Design:
眞田大輔
福田善成
Structure:
名和研二
Land:
東京・町田
Client:
個人
Construction:
有限会社坂本建築
Lighting:
株式会社ファーストデザインシステム
竣工年月日:
2014年12月
用途:
専用住宅
構造・構法:
木造
規 模
階数:
地上2階
敷地面積:
222.43㎡
建築面積:
67.08㎡
延床面積:
131.20㎡